人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

学術会議も重要局面に 課題は巨額建設費

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tanko 2013-8-6 7:10
 素粒子物理学の大型実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致について、文部科学省から審議依頼を受けている、日本学術会議(大西隆会長)の「ILC計画に関する検討委員会」(家泰弘委員長)は6日、5回目となる会合を東京都港区で開く。素粒子研究者らによる国内候補地一本化作業も本県の北上山地か、九州の脊振山地かの選定結果の公表が待たれる状況の中、同検討委も早急に意見の取りまとめをしたい考え。これまでの協議では学術的意義に対する賛意はあるものの、巨費投資による他の学術分野への影響などを懸念し慎重な意見も出ている。ILC計画をめぐる動きは、国内候補地一本化と国内誘致そのものの是非判断という、二つの重要局面を迎えようとしている。

 同会議は6月に文科省の審議依頼を受けて同検討委を設置。最初の3回はILC計画を推進する素粒子物理学者らを参考人として招き、その意義や想定される課題への対応について聴取した。
 7月30日の第4回会合は非公開で実施。終了後、家委員長による取材応答の場に立ち会った岩手県東京事務所の話によると、他学術分野の予算への影響などが話題に上ったという。
 約8300億円の半分ともされる建設費用を、文科省が持つ既存の科学研究費用の枠内で考えると、他学術分野への影響が大きいという。従来と別の予算枠を設ける手法も考えられるが、家委員長は「(検討委として)そこまでは踏み込めない」と述べたという。
 ILCを推進する素粒子物理学の研究者らは、7月末にという予定で国内2カ所の候補地を選定する作業を進めてきた。8月に入った現段階で公表時期などは依然明らかになっておらず、「学術会議の協議動向などを踏まえ、公表タイミングを見計らっているのでは」という誘致関係者もいる。ただ、県東京事務所によると、家委員長らは「国内候補地決定の動きとの連動や協調はしていない」と述べたという。
 文科省への正式な答申は、学術会議内での査読作業などがある関係上、9月になる見通しであることから、今月中旬にも一定の方向性が示されるものとみられる。
 「北上か背振か」とともに「日本誘致が是か非か」の鍵を握っている学術会議の判断にも注目が集まりそうだ。
(児玉直人)
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