人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

輝く瞳 未来見つめ(独マインツ大・斎藤武彦教授/ユーモア交え分かりやすく授業)

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tanko 2013-6-27 19:50
 北上山地への誘致が期待されている国際リニアコライダー(ILC)など、科学の世界に興味関心を高めてもらう小中高生向けの特別授業が26日、衣川小学校(吉田照彦校長、児童121人)を皮切りに始まった。独マインツ大学の斎藤武彦教授(42)が、児童たちに宇宙構造や素粒子物理の世界をユーモアたっぷりに説明。ILCが北上山地にできた場合「岩手は世界最先端の中心となり、世界一クール(かっこいい)な場所になる」などと語りかけると、児童たちは目を輝かせ期待を膨らませた。斎藤教授は来月5日まで、本県でILCにまつわる講演活動を繰り広げる。

 特別授業は、県ILC推進協議会(元持勝利会長)や一般社団法人「SAVE IWATE」(寺井良夫代表理事)などが主催。同社団法人と斎藤教授は、東日本大震災被災地の学校で科学授業を展開した経緯がある。ILCの北上山地誘致に強い関心を抱いており、候補地決定を目前に控えた機運を盛り上げるため講師として招かれた。
 来月5日までに21校を訪問するが、そのトップとなる衣川小では5、6年生44人が聴講した。
 斎藤教授は宇宙の構造や成り立ち、素粒子物理学の基礎知識について、分かりやすい切り口で説明。宇宙が4次元世界で成り立っていることについては、本県の観光キャラクター「わんこきょうだい」など登場させるなどして、児童たちの興味を引き付けた。難解な専門用語や理論などをなるべく使わず、宇宙の話とILC計画との関連性を紹介した。
 ILCが誘致された場合の効果について、「物理研究がきっかけで、インターネットの仕組みや携帯電話を作るのに必要な技術も生まれている。岩手からそういう技術が生まれれれば、世界中の人たちが岩手のことを知るようになる」と話すと、児童たちは「えーっ」「すごい」と驚きの声を上げた。
 一方、建設に約8300億円必要なことや、自然保護や放射線管理に気を配ることの重要性も指摘。「世界中から集められたたくさんのお金を使うので、正しい形で使われるようチェックしなくてはいけない。また、岩手の美しい自然が著しく壊されたり(茨城県にある素粒子実験施設)J―PARCであったような事故が起きたりしないよう、私たち大人はしっかりと責任を持って行動し、素晴らしい未来を皆に引き継いでもらう努力をしなくてはいけない。皆も大人になったら、そういう気持ちで自分たちの子どもに未来を託してほしい」と呼び掛けた。
 児童たちは「ILCが来ると生活がどのように変わるのか」「東京みたいに人口が多くなるのか」といった質問も。6年生の小形璃樹君(11)は「ILCのことは最初はよくわからなかったが、今日の授業でとても興味を持った。(実現したら)どんな風になっているのか見てみたい」と笑顔で話していた。
 斎藤教授は29日に盛岡市内で開かれる県ILC推進協の県民集会でも講演するほか、来月5日午後3時からは、水沢区の奥州宇宙遊学館で一般向け講演もする。
写真=宇宙の構造やILC計画について、ユーモアを交えながら解説する斎藤武彦教授(左)
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