人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

日本学術会議のILC検討委初会合(来月中に見解集約) 理解普及が課題

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tanko 2013-6-15 5:30
 【東京=児玉直人】 首相所轄の特別機関・日本学術会議(大西隆会長)が、文部科学省の審議依頼を受け設置した「国際リニアコライダー(ILC)に関する検討委員会」の初会合が14日、東京都港区内で開かれた。委員からは「他の科学研究分野の予算が圧縮されないようにすべきだ」「国民理解の形成にもっと努めるべきではないか」といった意見が出されるなど、一層の理解普及に向けた取り組みの必要性が浮き彫りになった。検討委は7月中にもILC計画の意義や建設・運営、予算確保に関する学術的見解をまとめる。

 審議依頼は文科省研究振興局の吉田大輔局長名で5月27日付で出された。文科省は▽研究意義と素粒子物理学における位置付け▽学術研究全体の位置付け▽国内立地による国民や社会に対する意義▽実施に向けた準備状況と建設、運営に必要な予算・人的資源の確保などの諸条件――について回答を要請している。
 検討委は、物理学にとどまらず哲学や社会学などの専門家10人で構成。委員長に、同会議副会長で東京大学物性研究所の家(いえ)泰弘教授(物理学)が選ばれた。
 初会合には参考人として、ILCなどの加速器研究の推進を監督する研究者組織・リニアコライダー国際推進委員会の駒宮幸男委員長(東京大学素粒子物理国際研究センター長)が招かれ、ILC計画の概要や意義について説明した。
 終了後、家委員長は報道陣の取材に「ILCの研究自体は意義があるが、他の研究分野の予算を圧縮するような事が起きてしまえば、マイナス影響が場合によっては大きくなる。日程的に急がれる中ではあるが、予算以外にも研究に携わる人員確保なども含め、実行の可能性について十分に考えたい」と答えた。
 駒宮委員長は「国民理解については、どうやって将来を担う若い人たちにILCの意義を伝えるかが特に大事になる」と強調した。
 検討委は7月までに専門家を招きながら、文科省への回答をまとめる方針。同会議幹事会での精査を経て、秋ごろにも文科省に回答を提出したい考えだ。回答は、政府がILC国内誘致の表明を判断する上で重要な参考材料になるとみられる。
 検討委で回答がまとめられる同時期に、日本の素粒子研究者で組織するILC戦略会議が中心となって進めている国内候補地(北上山地と脊振山地)の一本化が予定されているが、検討委では候補地に関連する事項は取り扱わないとしている。
写真=ILCの国内誘致について、学術的見解を取りまとめる検討委員会の初会合(日本学術会議・東京都港区六本木)
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