人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

示せるか「寛容な心」 国際都市形成へ有識者交え課題探る(水沢)

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tanko 2013-6-14 8:50
 国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致を見据え、国際都市形成について考えるパネルトークが13日、奥州市水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれた。数千人規模の外国人が地域住民の一員として生活する上で、必要となる機能や対策について有識者3人が意見交換。外国人や異文化の受け入れに、地元住民がどれだけ寛容な心で臨めるかが重要なポイントになることがあらためて浮き彫りとなった。ILC誘致が実現した場合、より深い市民の理解構築が求められそうだ。

 パネルトークは奥州市が主催し、奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)が主管。市民生活に関する事業やサービスを提供する立場の人たちに聞いてもらうため、金融機関や不動産、スーパー、住宅建築関係の事業所に声を掛けたところ、約40人が出席した。
 意見交換したのは、県立大学総合政策学部の吉野英岐教授、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長、外国人市民で組織するインターナショナル“ILC”サポート委員会のビル・ルイス委員長の3人。同協会の渡部千春事務局長が司会を務めた。
 水沢区で約20年生活している米国出身のルイスさんは、町内会や各種風習の意味を理解するのに苦しんだことを明らかにした。「日本や地域のやり方を説明してくれれば、それに多くの外国人は従うだろう」と述べた。
 国立天文台名誉教授でもある大江理事長は、2年間カナダで家族と生活した経験を踏まえながら話題提供。「研究者の配偶者の仕事場を用意する必要がある。例えば農作業の手伝いなどがあれば、彼らもうれしいし、農業界にとってもいことではないか」との考えを示した。
 聴講した人からは「外国人に限らず、日本人であっても他地域から来た人は、よそ者扱いされる。人的交流が一番の難点になり得るのではないか」という声もあった。
 吉野教授は、大学や周囲の学生居住地域でも同様のことが起きている事例を引き合いに「騒ぐとか町内会に入らないなど、悪いイメージばかりが先行し、どうしたら彼らを歓迎できるかという良い話に展開していかない」と指摘。「今まで経験したことのない、数千人という規模の外国人を招くかもしれない中、重要なのは迎える側に寛容な心があるかどうかだ。今のうちにさまざまな事例を謙虚に学んでほしい」と訴えた。
(児玉直人)
写真=外国人研究者の受け入れについて意見を述べるビル・ルイス委員長、大江昌嗣理事長、吉野英岐教授(右から)
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