人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

まずは実績づくりを(奥州市の大学誘致懇)

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tanko 2009-7-3 18:50
 奥州市の第3回大学誘致検討懇話会は2日、奥州市文化会館(Zホール)理事長室で開かれ、大学誘致の基本方針について協議した。相原正明市長のマニフェストに基づき、高等教育機関の誘致を目指す市だが、出席した有識者らは長期休暇中の短期講習の場として活用していきながら、機運を高めていく手法を提言。「実績をつくらなければ、どんなに頑張っても大学は来ない」と指摘した。市は秋ごろに第4回懇話会を開き、方針をまとめる。

 懇話会には、既存大学の関係者や企業経営者ら有識者6人と相原市長、市担当者が出席した。
 市側は、▽全課程修了が可能な大学本体の誘致▽教養課程など分校機能の誘致▽一部学部の誘致▽大学院大学の誘致――を掲げている。学部分野別にみると社会科学系、農業系、理工学系、社会人対象の再教育(リカレント教育)など多岐にわたる。
 また、方針案には明示していないが、北上高地が有力候補地とされる素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」が仮に実現した際、理工学系の学生が多数集まる可能性があるとし、大学誘致に関連してくると説明した。
 しかし説明を受けた有識者からは、独自性が見いだしにくいとする趣旨の発言や、市の存在を知ってもらう身近な実践策を実施すべきではないかとする意見が相次いだ。
 千葉科学大学の高山啓子教授は、国内唯一だという同大学の危機管理学部を紹介しながら、「ここならではという魅力が必要。地元の人が気付かないすばらしい学習資源があるほか、空洞化した市街地など市の抱える課題もある。これらを題材に夏休み中のセミナーを市内で開催してみてはどうか」と提案した。
 辻・本郷税理士法人の本郷孔洋理事長も、高山教授の考えに同調。「奥州市を知らない人は多い。まずはセミナーをどんどん開催する中で市を宣伝し、その課程で大学誘致への機運を高めていってはどうか」とアドバイスした。
 このほか卒業生の市内定住を図るため、雇用情勢を良好に保つ必要があることに加え、子育て環境のさらなる充実も進めなければ、若者の定住や人口対策の解決につながらないという。雇用対策に関しては卒業生だけでなく、在学中の学生たちの生活資金を得るための、アルバイト先の確保も考えなくてはいけない。
 相原市長は「奥州市に来ていただく動機をつくる上で、セミナー開催などは誘致の第一歩だと思う」と語り、提言に理解を示した。
写真=セミナーの開催など「身近な実績づくりをまず実践すべきだ」との意見が相次いだ大学誘致検討懇話会(Zホール)
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