人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

元東京大特任教授の山下氏が県立大に(ILC、引き続き誘致推進)

投稿者 : 
tanko 2023-1-21 9:00
 北上山地が有力候補地とされている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致活動に携わっている素粒子物理学者の山下了氏が今月、岩手県立大学研究・地域連携本部特任教授に就任した。東京大学素粒子物理国際研究センター特任教授の任期が、昨年12月末で満了したことによるもの。県立大特任教授の任期は1年。県立大の鈴木厚人学長も同分野の研究者でILC誘致を推進している関係にあり、山下氏は引き続き誘致に関する業務に専従するという。

 山下氏は千葉県出身。京都大学大学院修了後、同センター助手、准教授を経て、2016年に同センター特任教授に就任していた。ILC戦略会議議長、高エネルギー物理学研究会議ILC推進パネル委員長なども歴任し、講演や誘致関係者との会合のため、本県をたびたび訪れていた。
 県立大の鈴木学長や同センター長の浅井祥仁教授らによると、山下氏は昨年12月末で特任教授の任期が終了。次の長期的な就任先が決まるまでの間、県立大特任教授を務めることになった。業務は、滝沢市の県立大キャンパスではなく、県東京事務所=東京都中央区=を拠点にILC誘致活動に携わる。鈴木学長は「月に何度か県庁や滝沢のキャンパスに来て対面の業務をすることはある」と説明する。
 一方同センターでは今月27日まで、ILC計画の推進や人工知能(AI)研究を駆使した物理研究手法の開発に携わる特任准教授を募集中。浅井教授は、山下氏の後任募集という趣旨ではないとした上で「大学が行う本来の活動は研究。新しいAI技術を投入した検出の方法など、分野内の課題解決につながる研究に従事する人材を確保するのが目的」と説明している。
 県立大は公立大学法人のため会計処理は県会計から独立しているが、県一般会計から「運営交付金」として、本年度は約38億円支出されている。これに授業料や各種研究交付金、寄付などを合算して人件費や研究費用、一般管理費などに充てている。21年度決算に基づく教員人件費は24億1574万6000円となっている。
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php/1086

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動