人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

若手支援に3000万円、当初目標の3倍到達(天文台水沢のCF終了)

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tanko 2022-6-19 9:10

写真=CF活動を通じ水沢地域の伝統産業、鋳物のPRにも一役買った本間希樹所長(右) 提供:国立天文台水沢VLBI観測所

 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)が4月20日から続けてきたクラウドファンディング(CF、資金調達活動)が17日深夜終了した。寄付総額は初期目標の1000万円を大幅に上回り、現時点で決済が完了した分だけで3022万7000円。今後、金融機関振り込みで受理した分の金額が加算され、今月下旬には最終金額がまとまる見通し。集まった資金は若手研究者の育成などに活用。記念品付き寄付を選択した人には、金額に応じた特製グッズが贈られる。
 同天文台の観測所施設が公式にCFを行ったのは今回が初めて。1000万円の目標金額を設定し、期日までに達した場合のみ支援金を受けられる「All or Nothing型」で実施した。
 5月12日に目標の1000万円を達成。偶然にもこの日は、天の川銀河(銀河系)の中心部にある巨大ブラックホール(BH)「いて座A*」の撮影成功を発表する記者会見があり、会見が始まる2時間前に目標に達した。
 約3週間で目標に届いたが、BH撮影成功の話題などが追い風となり、その後も寄付を申し出る人が相次いだ。さらに、動画投稿サイト「ユーチューブ」で科学系情報を紹介している複数の動画制作者が、BH撮影成功と本間所長のインタビューを発信。大きな宣伝効果をもたらし、第2目標の2000万円も突破した。CFが終了する17日午後11時の約1時間前には第3目標の3000万円も超えた。
 寄付件数(個人、企業・団体)は延べ1255件。最高額の300万円コースの申し込みはなかったが、100万円コースは5件あった。最多の申し込みは1万円コースで778件だった。
 記念品を希望した寄付者には、寄付額に応じた記念品が贈られる。本間所長はこのほど、鋳物の記念品製造を担当する水沢羽田町の?及富(及川一郎社長)を訪問し、自ら鋳造作業を体験。CF応募サイトでその様子を紹介し、鉄と天文学との科学的な関係について解説しながら、観測所がある水沢で育まれた伝統産業のPRにも一役買った。
 CFの終了を受け本間所長は、「予想をはるかに超える多くの方々からのご支援により、大成功で終えることができた。驚きとともに感謝の気持ちでいっぱい。皆さまの応援を私たちの力にして、今後の研究をさらに進めていきたいと思います」とコメントしている。
(児玉直人)
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