人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

一時は臨時緯度観測所の事務所としても利用(水沢の旧安倍家住宅が国の登録有形文化財へ)

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tanko 2022-3-19 11:10
近代和風建築の先駆け

写真=江戸時代の武家住宅の雰囲気を残す旧安倍家住宅。二階座敷は風雅な造りになっている。臨時緯度観測所の事務所が置かれるなど地域史的にも重要な建物

 水沢日高小路の旧安倍(あべ)家住宅の建物5件(主屋、板蔵、土蔵、表門、庭門の計5棟)が、国の登録有形文化財(建造物)に登録される見通しとなった。18日に開催された文化審議会(佐藤信会長)で、登録妥当と答申された。江戸時代の武家住宅の系譜を引く近代和風建築として、貴重な現存遺構であることを評価。今後の官報告示をもって、正式登録となる。登録されれば県内で100件目、市内で13件目の同文化財となる。市教育委員会は4月30日に一般公開を予定している。
(宮本升平)

 安倍家は江戸後期から水沢要害の領主・留守氏に仕えた家柄。同住宅は明治初期に建立され、国重要文化財「旧高橋家(高萬家)住宅」=水沢大畑小路=の主屋を建てた丹野源六が棟梁を務めた可能性があるという。2度の明治天皇巡幸の際に「立退所(たちのきじょ)」とされたほか、1899(明治32)年には「臨時緯度観測所」の事務所も一時置かれた。大正時代には、当主が同住宅で医院を開業していたという。
 中心となるのは、一部二階建の主屋。平屋建入母屋造りの座敷と、二階建寄棟造りの建物を鉤型になるよう合わせている。3本のマツの老木をメインとした表庭「翠松園(すいしょうえん)」を生かすために施された配置だといい、このような配慮は江戸時代にはない近代和風建築の特徴とされる。
 「茶の間」にあるはめ込み箪笥の上に戸袋を設ける形式も、近代和風建築らしい構造。戸袋の襖絵は近代水沢を代表する絵師の一人・佐藤耕雲(1854〜1920)が手掛けている。
 二階座敷は化粧屋根裏の「船底天井」を持つ数寄屋造りで、風雅さが漂う。床の間が輝くアワビの貝殻片を混ぜて塗られた土壁になっているなど、旧高橋家住宅に共通する意匠が見られる。
 市教委歴史遺産課の高橋千晶・上席主任学芸員は「安倍家住宅のうち、特に主屋は当時最先端だった折衷様式の近代和風建築の特徴がよく分かるもの。それが仙台などよりも早く建てられていることに驚かされる。水沢には先取の気風があったのではないだろうか。一方で江戸時代の武家住宅の雰囲気も残るこの住宅の価値を認めてもらえたことは喜ばしい。市民への公開、活用を含めて長く守り伝えていきたい」と話す。
 高橋勝・市教育長は「旧安倍家住宅は武家住宅の系譜を引く近代和風住宅で、屋敷は表門を日高小路に面して構え、北国特有の板蔵などが配されている。主屋は部分的に改築されているが、当時の姿をほぼ今に残している。これからもこの貴重な財産を守り続けてきたい。地域の皆さんには、郷土の宝として末永く慈しんでいただきたい」と呼び掛けた。
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