人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC推進事業費に1億1080万円(岩手県新年度当初予算案)

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tanko 2022-2-8 10:10
準備研設置に有識者難色も姿勢変えず、前年度比960万円増

 岩手県は7日、総額7922億3600万円とする2022(令和4)年度一般会計当初予算案を発表した。前年度当初比で2.3%減。▽人口減少対策▽デジタル化の推進▽環境保護と経済活動を両立させる「グリーン社会」――の三つを重点テーマとした。コロナ対策は同比0.8%増の966億円。文部科学省有識者会議が準備研究所(プレラボ)設置に難色を示し、実現見通しが依然不透明な素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の推進事業費は、前年度比960万円増の1億1080万円とし、誘致推進の姿勢に変わりがないことを鮮明にした。同予算案は16日招集予定の県議会2月定例会に上程し、審議される。
(児玉直人)

 県は「コロナ禍を乗り越え復興創生をデジタル・グリーンで実現する予算」と名付けた。
 県予算は東日本大震災発生翌年の2012年度以降、一般的な行政運営や全県を対象とした事業に投じられる「通常分」と、震災復興に関連した「震災分」に大別。昨年度からは、通常分に含まれる「コロナ対応分」も規模を明示している。
 通常分歳入の自主財源のうち県税は1307億3800万円で、前年度比7.5%増。前年度は新型コロナの影響で個人所得や企業収益の減少を見込んでいたが、2022年度は改善すると予測した。
 通常分歳出は、人件費などの義務的経費が2791億6900万円(前年度当初比1.4%減)。普通建設事業費など投資的経費は843億1100万円(同比1.1%減)。補助費などを含むその他経費3810億6200万円(同比1.6%増)となっている。
 投資的経費のうち、災害復旧事業費は112億9700万円で、同比125.8%の大幅増。西和賀町の国道107号地すべり災害復旧関連費用が計上されたためだ。
 コロナ対策では、入院施設や宿泊療養施設の確保に211億1470万円、ワクチン追加接種体制の確保には41億170万円を計上。感染状況が長期化する中、総合支援資金等の特例貸付が終了した世帯の支援を目的に、生活困窮者自立支援金給付事業費3490万円を新たに盛り込んだ。
 三つの重点テーマのうち、人口減対策は出生や死亡に伴う「自然増減」、移住に伴う「社会増減」ごとに対策を強化。出会い創出や出産環境の向上、移住者の暮らしを支援する事業などを展開する。
 デジタル化では行政業務の効率化、暮らしや産業の利便性、生産性向上を図る。グリーン社会の実現に関しては、豊かな森林・海洋資源を有する本県の強みを生かし、地域経済活動と環境保全の好循環を生み出す取り組みを実施する。
 ILC推進局への予算配分は前年度比2.7%減の2億4030万円だが、ILC推進事業費は同比9.5%増の1億1080万円。文科省有識者会議はプレラボ設置に難色を示しているほか、日本誘致を前提とした現計画から建設地に関連する事柄をいったん切り離すべきだと提言している。しかし県は、まちづくりや機材搬送の検討など、北上山地建設を見据えた受け入れ態勢づくりを変わりなく進める考え。地域特産品を使用したPRグッズ作製、小中学校での出前授業、高校生向け研究コンテストなどといった理解増進活動も計画している。
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