人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC実現への取り組み強力に、宣言採択し熱意示す(一関市で大会)

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tanko 2021-12-25 10:10

写真=一関市で開かれた岩手県南・宮城県北ILC誘致推進大会

 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)誘致実現を求める大会が24日、一関市文化センターで開かれた。岩手県南と宮城県北の自治体の首長や議員、誘致促進団体メンバー、関係地域選出の国会議員ら約300人が出席。ILCは、国の成長戦略や地方創生、震災復興に寄与するプロジェクトだとし、「岩手県南と宮城県北が一体となって誘致実現への取り組みを力強く推進する」との大会宣言を採択した。
(児玉直人)

 大会は佐藤善仁・一関市長をはじめ、同市内の誘致団体の代表者ら4人が発起人となり開催。胆江地区からは奥州市の小沢昌記市長、金ケ崎町の鈴木浩之副町長のほか、両市町の議員や担当職員らが出席。仙台市や盛岡市の議会、行政担当者らも参加した。
 発起人を代表し佐藤一関市長は、「わが国にとって国際プロジェクトを主導するのは初めてであり、実現には大きな政治決断が求められる。政策を動かすのは政治。政治を動かすのは民意であり、その原動力は経済だ。今回は日ごろ政治、経済を動かしている方々に集まってもらった。双方が車の両輪となって誘致実現させたい。実現に向けて全力で努力することを誓う」と力を込めた。
 大会では東京大学の山下了特任教授と県立大学の鈴木厚人学長が講演。最新動向についての説明があったが、主催者側は「コロナ感染防止対策」を理由に、聴講を大会開催の案内を受けた誘致推進の関係者に限定した。
 山下特任教授は「2019年に文部科学省は『関心表明』をしているが、よくよく見ると『ILC計画に関心がある』という意味で、『ホスト(誘致)することに関心がある』とは言っていない。欧米は、日本がホストする意向があるという一言がほしいと考えている。今は非常に重要なタイミングなので、アフターコロナの時代にILCが実現できるよう、地域の皆さんの力添えをお願いしたい」と呼び掛けた。
 講演後は「ILC実現に向けた取り組みを力強く推進していく」とする大会宣言を採択。宣言の内容に基づき、関係省庁など中央要望を展開していく。
 ILCを巡っては文科省の有識者会議が、年度内に議論の取りまとめを行うが、誘致を前提とした現状の計画の進め方では巨額予算の負担に関係国政府が二の足を踏んでいる現状を受け、「先に進めるのは難しい」と慎重論が根強い。
 有識者会議委員の間からは、施設誘致に関係する取り組みを切り離し、工学設計や技術研究に特化した準備研究所(プレラボ)を開設してはどうかという意見が出ている。
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