人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC計画 日本政府は姿勢明確に(研究者ら有識者会議で強調、要望)

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tanko 2021-10-15 10:10

写真=オンライン形式で行われた第2期ILC有識者会議の第2回会議

 素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)計画に関する文部科学省の有識者会議(座長・観山正見岐阜聖徳学園大学長)の第2期第2回会議が14日、ネット回線を通じたオンラインで開催された。同会議委員と、計画を推進する研究者らが意見交換。ILC準備研究所(プレラボ)の創設を直近の目標としている推進研究者サイドは、ILC計画に対して日本政府がより前向きな姿勢を示すよう、あらためて求めた。(児玉直人)

 およそ2カ月半ぶりの開催となる第2期会議。同日は、ILC計画の概要やこれまでの経緯、加速器と呼ばれる実験装置の技術成立性やコスト、プレラボの創設などについて、ILC計画を推進する素粒子物理学者らが説明。同会議委員と意見を交わした。
 計画を推進するカリフォルニア大バークレー校の村山斉教授は、日本政府が態度を明確にしない状況が続いていることを懸念。「日本が世界をリードできる、めったにないチャンス。ここでもたもたしていると、ILCが海外にさらわれてしまう」と危機感をあらわにした。
 有識者会議の中野貴志委員(大阪大核物理研究センター長)や横溝英明委員(総合科学研究機構理事長)は、プレラボが予定通り創設されなかった場合の進展や、研究者間合意のみでプレラボが創設できるのかについて質問した。
 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の道園真一郎教授は「予算、マンパワーの面からも、国際協力で進めないと困難。プレラボを創設して進めるのが一番良い」とした。その上で「実験装置の量産に向けた実証には、ある程度の予算が必要。研究者サイドの合意だけで確保するのは、なかなか難しいと個人的には思う」などと述べた。
 道園教授によると、4年の設置期間を想定するプレラボの運営経費のうち、日本の負担見込み額は約60億円。うち約30億円は、茨城県つくば市のKEK敷地内に整備する装置の試験設備などに充てる考えだ。
 プレラボ創設の準備作業を進める国際研究チーム(IDT)の中田達也議長(スイス連邦工科大ローザンヌ校名誉教授)は、「日本政府の前向きな姿勢がない限り、プレラボは開設できず、予定している行程は実現できない」と強調した。だが、文科省はILC建設とプレラボ設置を一体的なものと捉えており、課題が山積する現状での誘致判断やプレラボ設置への投資は「国民理解を得るのは難しい」と、慎重な姿勢をみせている。
 東京大カブリ数物連携宇宙研究機構の横山広美教授は「高エネルギー分野の世界共同大型プロジェクトはILCかFCC(ヨーロッパの超大型円形加速器計画)ぐらいしかない。文科省の見解や予算面の厳しさがある中、当該分野の継続性を考える上では、誘致前提のプレラボ開設ではなく、技術開発と国際プロジェクトの継承という位置付けで取り組んでいけないものか」と提言。「(政府や他分野研究者との)温度差が埋まらないと、次のステップに行くのは厳しいと思う」と述べた。
 第3回会議は18日に行われ、国民理解や費用分担の見通しについて取り上げる。
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