人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILCの放射線防護策「住民理解へ説明継続」(KEKなど文科省に回答)

投稿者 : 
tanko 2021-6-4 12:30
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」計画に関連し、高エネルギー加速器研究機構(KEK、山内正則)と高エネルギー物理学研究者会議は2日付で、ILCを取り巻く主要課題への対策をまとめた回答を文部科学省に提出した。装置運用時に発生する放射線の防護策については「住民理解を得るため、継続して説明会を実施する」などとしている。一方、KEKを拠点に活動しているILC国際推進チーム(IDT)は、ILC準備研究所(通称=プレラボ)に関する提案書を公表した。(児玉直人)

 ILC計画は、国内外の素粒子物理学者らが中心となって推進している。当該分野の研究者らは昨年、IDTを立ち上げプレラボの設立準備に着手。今月1日付で「プレラボ提案書」を公表し、プレラボの役割や作業計画の概要を示した。
 プレラボで行う作業には、2018(平成30)年に文科省有識者会議や日本学術会議から指摘されていた課題への取り組みも少なくない。研究者側の対応状況や見解、今後の方針を明確にするため、KEKなどは同提案書とほぼ同時に「回答」もまとめた。
 回答の提出は「文科省が特に求めていたものではない」(同省素粒子・原子核研究推進室)という。KEKなどは「課題解決の活動が進んでおり、残された課題を解決するにはプレラボにおいて、国際協力の下で対応していく必要がある点を関係者に理解してもらいたい」と趣旨を説明。▽国際的な研究協力・費用分担の見通し▽学術的意義や国民・科学コミュニティーの理解▽技術的成立性の明確化▽コスト見積もりの妥当性▽人材の育成・確保の見通し▽その他――に大別し、取りまとめた。
 費用分担に関しては「最終的には政府間協議で決定される事項」とした上で、「協議に必要な研究者側の支援は、プレラボの主要任務。政府間分担協議に必要な研究者側の体制は、プレラボの設立によって整う見通しだ」とした。
 2015年以降、延べ約19万人がILC講演会や関連施設の見学に参加した実績を示しつつも「他分野や国民理解を得る努力はまだ十分ではない」と認識。対外的な広報や理解周知活動は、プレラボの重要任務の一つだとし「さらなる理解促進に努める」とした。
 放射線防護や放射性物質の長期管理に関する課題は有識者会議、学術会議双方から指摘があり、有力候補地である北上山地周辺の地元住民からも懸念の声が出ている。回答では「プレラボで関連施設・設備の詳細設計を完了させる」「住民理解を得るため、継続して説明会を実施する」との考えを示した。
 回答提出に先立ち公表された「プレラボ提案書」に関し、IDTの中田達也議長(スイス連邦工科大学ローザンヌ校教授)は「マイルストーン(中間目標)の達成だ」と強調。「ILCに関心を持つ研究所の経営陣が、プレラボ活動の責任分担について本格的に議論するためには、日本政府から何らかのシグナル(意思表示)が必要」とコメントしている。
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php?1019

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動