人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

千人計画(コラム「時針」より)

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tanko 2021-4-20 10:10
 世界トップの科学技術強国を目指し、外国から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクト。2008年から実施され、研究者の多くは米国や欧州を中心に、2018年までの10年間に延べ7000人を超えているとされるが、研究内容や参加者などの実態は明かされていない。
 中国には、北京理工大学や南京理工大学など、中国軍の監督下にある大学が7校あるとされ、研究者の多くは兵器開発を中心に軍民融合戦略の担い手になっている。軍民融合戦略とは、民間の最先端技術を軍事力の強化につなげることで、民間企業とはいえ重要な情報や技術は強制的に中国軍に伝えなければならない。
 参加している日本人の研究者は50人程度明かされているが、実際はもっと多いとされる。外国からの研究者が多く参加する背景には多額の研究費と生活が保障され、自国の研究環境よりも待遇に恵まれていることらしい。
 千人計画に参加している日本人の多くは、日本の科学技術政策へ不満を抱く。民間技術と軍事技術との線引きは困難で、どんな技術でも軍事転用は可能でありながらも、研究内容に縛りが伴うだけでなく、研究費はわずかで、待遇や任用期間が限定されているなど、生活に不安を抱えながらの研究に見切りをつける研究者が多い。
 安全保障の考え方と認識の甘さからか、平和の行方そのものがさまざまなかたちで岐路を迎えているということであろうか。「戦争反対、平和を守る」という声だけで他国からの脅威を跳ね除け、軍事力と対等に戦えるとは思えない。
 日本の安全保障とは、防衛力の強化に限らず産業を守り技術と人材の流出を防ぐことでもあろう。海外に進出した企業を国内に呼び戻すサプライチェーン対策も含め、流出を防ぐ手だてこそが今必要な安全保障政策ではないか。技術も人材も他国に渡り、自国が軍事的標的にさらされている理不尽な現実に、平和を叫ぶだけで平和を守れるのか甚だ疑問である。
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