人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

コロナ対策に重点、ILC誘致は1億120万円(岩手県の新年度予算)

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tanko 2021-2-9 12:10
 岩手県は8日、歳入歳出をそれぞれ8104億7700万円とする2021(令和3)年度一般会計当初予算案を発表した。前年度当初比で13.1%少ない。東日本大震災から10年目を迎えることもあり、土木・建設工事中心とした復興事業が大幅に減少。震災分予算は667億3900万円で、同比74.4%減った。対照的に新型コロナウイルスの感染防止や経済支援策に、震災分を上回る958億5100万円を計上した。当初予算案は17日招集予定の県議会2月定例会に提案され、審議される。(児玉直人)

 21年度予算は「命を守る幸福希望予算」と名付けられた。達増拓也知事は8日、県庁で行われた会見で「新型コロナ対策が大事だということ。加えて大震災直後の原点に立ち返ったつもりで、復興をさらに進めていこうとの思いから『命を守る』という言葉を掲げた」と述べた。
 県予算は12年度以降、一般的な行政運営や全県を対象とした予算を「通常分」、震災復興に関連した予算を「震災分」に大別している。21年度予算ではさらに、通常分の中に「コロナ分」の項目を設け、新型コロナ関連事業が予算全体に占める規模を明確化した。
 通常分歳入のうち、県税などの自主財源は3282億5900万円で通常分全体の44.1%に相当。地方交付税など依存財源は4154億7800万円で、55.9%を占める。
 自主財源は前年度当初と比べ593億8600万円(22.1%)増だが、県税収入は新型コロナの影響による県民所得や企業収益の減少を見込み、前年度当初より97億5400万円(7.4%)少ない1216億7200万円とした。
 自主財源増加の要因は、新型コロナ対策関連の制度融資事業費の増額によるもの。県が融資の取扱金融機関に預託した原資は、年度末に諸収入として戻される。自主財源に区分される諸収入額は、前年度当初の倍以上となっているが、預託額が計上される歳出の貸付金(その他経費に区分)もほぼ同じくらい増えている。
 通常分歳出は、人件費などの義務的経費が2832億5500万円(前年度当初比1.0%減)。普通建設事業費など投資的経費は852億6500万円(同比13.1%減)。補助費などを含むその他経費は3752億1800万円(同比30.7%増)となっている。
 震災分は、土木・建設などのハード系事業の多くが終了し、被災者の心のケアや起業支援、防災教育といったソフト面の充実に移行している。県は総務部総合防災室と大震災直後に設置した復興局を再編し、復興防災部を新設。三陸TSUNAMI会議(仮称)や、防災推進国民会議2021の開催などに取り組む。
 震災分を上回る規模の予算措置が講じられる新型コロナ対策では、入院施設の確保に134億9440万円、医療従事者への手当支給補助に1億6840万円計上。蔓延防止として、幼保施設や学校施設、介護施設などの改修や施設整備、生活困窮者の支援なども展開する。
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」誘致に係る推進事業費は1億120万円(前年度当初比17.7%減)。平泉世界遺産登録10周年関連では、記念事業や交流人口拡大、ガイダンス施設管理運営に合わせて1億2210万円を計上している。
 新規にU・Iターン就職者や新婚世帯向けの新生活支援、若者が先輩・上司に助言する「リバース・メンター制度」を参考にした取り組みを導入するなど、人口流出対策につながる若者の定住や活躍支援策も展開する。
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